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3RD CERAMICS
Tajimi, Gifu土井の陶芸との出会い小学生の頃まで遡る。合宿で訪れた沖縄で買ったマグは、しっくりと自分の手に馴染みながらも、生活に彩りを与えてくれた。そのシンプルな感動から高校で陶芸を専攻、大学、意匠研究所、そして製陶所勤務を通じて陶芸を学び深めている。一方の長屋は、大学ではプロダクトデザインを専攻。デザイン事務所で仕事をしていたが、パソコンばかりに向かう日々のなか、自分の手でものを作りたいという思いを強くし、一念発起してゼロから陶芸の道に飛び込んだ。対照的な経歴を持つ二人は、多治見市陶磁器意匠研究所の先輩と後輩として出会い、作家でもなく、大量生産でもない道で、人の生活を確かに豊かにできるモノを作りたい、という思いで意気投合する。
例えば定番のマグは、素焼きまでをメーカーに委託しつつ、自分たちで釉がけと焼成を行うことで、量産では表現できないそれぞれにユニークで多彩な表情となる。自分たちでろくろをひきながら、メーカーや売り手とも協働する。多くの手と人が関わる制作工程が、生まれるモノに説得力を生んでいる。
近頃決めた社訓は「家族最優先」。家族と過ごす生活の時間から、器づくりのヒントを得ることも多い。作り続け、使い続けてもらえるサイクルをつくること。彼らの価値観は、今の時代にふさわしい地に足のついたものづくりの姿を示しているようでもある。