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#3

Akio Niisato

新里 明士

必然的な偶然。

轆轤で挽いた内側のラインをいかし、薄く削り整えた器に、大小の穴を穿つ。最初の一周の数を数えて、その数から導き出される模様を器に織り込んでゆく。綿密に計算された、隙のない姿。けれども、その肝心の始まりは偶然に身を任せている。そんなアンバランスが、凛と強くも儚いアンビバレントな印象を作品に与えているのかもしれない。そんな作家は近頃、歪み割れた非対称の器を作り始めた。ヒビの入り方はある程度”仕込む”が、完全なコントロールはできない。もう20年近い制作の日々のなかで、最近やっと窯を開ける時のわくわくする気持ちを知った、と言う。轆轤や焼成によって生まれる偶然の数から導かれて並ぶ穴を通じて、光が器を満たす。器は光となって、空間に滲み込んでいく。不確定さと一体になって、それを包み込む造形は、やわらかくも必然的なのだ。

1977Born in Japan
2001Diploma, The Tajimi City Ceramic and Design Center
2011Received a Fellowship of Japanese Government Overseas study program for artist by the Agency of Japan Cultural Affairs. (Boston,USA)
Currently living in Toki, Japan

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